こんにちは、代表の三坂です。
暑いですね。うちは来月が決算で、いま会計業務に追われています。パソコンに向かいながら、つい何度もアイスコーヒーを淹れてしまう季節です。
会計って、昔は本当に意味不明だったんです。借方？貸方？減価償却？なにそれ？って感じでした。でも、会社を5年続けていると、感覚で分かるようになるんですよね。分かったふりをしながら動いて、動きながら学んで、気づいたら馴染んでいた。そんなことが、自分の成長を支えてくれた気がします。
そう思うと、やっぱり「動きながら習得していく力」がある人って、どんな分野でも伸びていくんじゃないかなと思うんです。
さて、本題です。
営業の顔も、会社の中身も見えないまま現場に入る不安
この業界に長くいると、よく耳にするのがこんな言葉です。
「誰がどこで働いているのか分からない」
「営業さんとは初回の面談しか話していない」
「会社に属してる感覚が全くないまま、現場に入っていった」
これ、SES業界では本当に珍しい話じゃないと思います。
けれど僕は、こうした声を聞くたびに、いつも同じ違和感を抱いてきました。
これって、果たして普通で片付けていいことなんだろうか？
本音を出せる場が、どこにもない
SESという働き方は、決して悪いものじゃないと思っています。
むしろ、多様な現場を経験しながら、時間をかけて自分の進む道を模索できる環境だと思います。
でも一方で、現場ごとに関係性がリセットされたり、
会社との接点が薄れていったり、
誰にも相談できないまま日々が過ぎていく。
そんな孤独を内包した構造でもあるのが事実だと思うんです。
ある日、エンジニアのひとりがぽつりとこう言いました。
「最近、チームで話す機会がなくて、自分が何を目指してるのか分からなくなってきました」
そりゃそうなるよな、と思った感覚を今でも鮮明に覚えています。
それを誰かに言える場があるかどうかで、未来の選択肢は全く変わってくると痛感しました。
信頼関係は、つくりあげるものだと思っている
SESという働き方は、人と人との接点がとても短い場合があります。
だからこそ、形式的なやり取りだけで終わってしまうことも多い。
でも、それを仕方ないと流してしまうのは、あまりにも寂しい気がするんです。
たとえば、ある30代のエンジニアがいました。
現場での評価も高く、先方からは「○○さんがいてくれて助かってます」と言われていた。
本人も、現場での居場所が少しずつできてきたと感じていたようです。けれど数ヶ月後、突然契約終了の連絡が来ました。
「何か悪いことしましたか？」
そう僕に連絡が来たとき、言葉に詰まりました。
彼に非はないんですよね
むしろ、現場としての体制変更やスキルニーズの変化が理由だった。
けれどそのプロセスで、誰も彼の気持ちに耳を傾けなかった。
それが一番の問題だったと思います。
SESという働き方において、信頼されていると必要とされ続けるは、必ずしもイコールではありません。
でもそれは決して、信頼が存在しないわけじゃない。
逆に言えば、信頼関係こそが意図的に育てていくべきものだと思っています。
契約や制度の限界のなかで、僕たちにできることは何か。
それは、言葉にできない感情を受け止める耳をもつことだと思うんです。
だからLEGAREAでは、表面上の関係に頼らず、何気ない会話のなかからでも相手の心の変化を汲み取ることを意識しています。
SESの限界を嘆くのではなく、その中で「人との信頼」をつくる努力を続けたい。
僕はそう思っています。
LEGAREAでは、現場に入ってからも継続して「キャリア1on1」を行っています。
堅苦しい面談ではなく、あくまで日常の延長線上のような感覚で、コーヒーでも飲みながら話すスタイルです。
スキルの高さよりも、自分の状態を素直に言葉にできること。
それを受け止めてくれる誰かがいること。
その積み重ねが、本当の成長を後押しするのではないでしょうか。
仮面を外せる組織をつくりたい
SESという枠組みのなかであっても、
人として向き合える関係性はつくれると信じています。
LEGAREAでは、あえて定期的な週報を義務づけています。
スキル報告だけではなく、最近どう？という些細な会話をきっかけに、
自然と悩みや希望が共有されることも多くなってきました。
また、各種社内イベントや自社開発会議といった、
社内の横のつながりが生まれる仕掛けも増やしてきました。
特別な制度ではありません。
でも、こうした余白があるからこそ、仮面を外しても大丈夫だと思える空気が生まれるんだと思います。
おわりに
経営者として、日々いろんな判断をしています。
売上、利益、組織戦略、採用戦略……。正直、全部大事です。
でも最も難しくて、最も本気で向き合いたいテーマは、
「人が、人として安心して働ける関係をどうつくるか」だと思っています。
SESの世界が、仮面舞踏会のような無言のパフォーマンスで終わらないように。
エンジニアが、自分の言葉で、自分の物語として働けるように。
僕たちはこれからも、目の前の一人ひとりと、真正面から向き合っていきたいと思います。
