こんにちは、株式会社LEGAREA代表の三坂です。
SES企業で働くエンジニアの中には「いずれはPMを目指したい」と考えている人も多いと思います。
でも、SES企業でのPM昇進って、実は想像以上に複雑な世界です。
今日は、SESでPMを目指すなら知るべき
現場で評価される人の特徴、単価の上がり方、実現可能な昇進ルートを現場経験から解説します。
目次
- SES企業でPMになるとはどういうことか
- PM昇進に必要な3つの条件
- 1.技術力より「人と人の間に入れる力」
- 2.当事者意識とは「自分の担当外で動けるか」
- 3.最低1年以上の継続
- PMを目指すなら避けるべき現場選び
- 人員が頻繁に入れ替わる現場
- 技術的に古い現場
- 「協力会社だから」という線引きが強い現場
- PM昇進のリアルな流れと時間軸
SES企業でPMになるとはどういうことか
まず、SES企業の社員がPMになるというのは、どういう状態なのか。
これを正確に理解していない人が意外と多いです。
SES企業の社員は、基本的に客先に常駐して、その現場の一員として働きます。
つまり、PMになるというのは、
客先の現場で『プロジェクトマネージャー』として、
チーム全体の進捗・品質・人員を管理する立場になるということ。
ただし、商流上、SES企業の社員が正式なPMになるのは実は稀です。
多くのケースでは、
SES企業の社員が実質的にPM業務をこなす立場になります。
つまり、正式な肩書きはシニアエンジニアやテックリードだけど、
実際の業務はPMと変わらない、という状況です。
これは商流の構造上、仕方ない部分があります。
元請け企業が正式なPMを配置するのが基本で、
その下で実質的なマネジメント業務をこなす、というのが現実です。
単価の話をすると、通常のエンジニアは月80万円前後が相場ですが、
PM級になると月100万円〜130万円程度に上がることが多い。
ただし、ここで大事なのは、
単価が上がるのは「実績が認められた後」であって、
「PM職に就いたら自動的に上がる」わけではないです。
僕が見てきた現場では、
実績を積んで初めて「この人はPM級だ」と評価され、
その後に単価交渉が始まります。
逆に言えば、PM昇進を目指すなら、
単価アップは結果として後からついてくるものだと思ってください。
PM昇進に必要な3つの条件
1.技術力より「人と人の間に入れる力」
PMになるために技術力は必要です。
でも実際に昇進を決めるのは技術力ではありません。
なぜなら、PMの仕事はシステムを作ることではなく、
「人を動かしてシステムを完成させること」だからです。
現場では毎日のようにこんなことが起きます。
- メンバーが仕様を勘違いしている
- 顧客が急に要件を変えてくる
- 他チームの対応待ちで作業が止まる
- 上司は納期を守れと言う
- 現場は無理だと言う
PMはその真ん中に立たされます。
つまり求められるのは、
「正しいことを言う力」ではなく、
「利害がぶつかる人たちを着地させる力」です。
実際、現場で評価される人は技術的に一番詳しい人ではありません。
メンバーが言いづらいことを代わりに顧客へ伝えたり、
顧客の要求を現場が動ける形に翻訳したり、
問題が大きくなる前に関係者へ根回しできたりする人です。
プロパー社員が見ているのもそこです。
「あの人がいると案件が荒れない」、そう思われる人がPM候補になります。
2.当事者意識とは「自分の担当外で動けるか」
多くの人は当事者意識を「責任感があること」だと思っています。
でも現場で評価される当事者意識は少し違います。
それは、「担当範囲の線を越えて動けるか」です。
例えば、テストが遅れている。
普通の人は「テスト担当が頑張ればいい」で終わります。
PM候補になる人は、
「このままだと結合試験に影響するな」
「レビュー人員を増やせないかな」
「先に優先機能だけ終わらせようか」と考え始めます。
自分の担当ではないのにです。
実際、プロパー社員がPM候補を探すときに見ているのは、
「この人は何をやったか」よりも、
「何か起きたときに誰より先に動くか」です。
肩書きがないのに案件全体を見始める人は、
自然とPMの仕事を先にやっています。
だから後から役職が付くのです。
3.最低1年以上の継続
3つ目は、最低1年以上の継続です。
システムの仕様を理解し、チーム内での信頼を築くには、
相応の時間がかかります。
短期間で抜けると、
実際にはその人がPM適性を発揮する前に現場を出ているだけでも、
PM適性がないと判断されやすいです。
1年未満で現場を変えると、
次の現場でも「また短期で抜けるかもしれない」という警戒感を持たれ、
市場価値を大きく下げる要因になります。
PMを目指すなら避けるべき現場選び
PM昇進を目指すなら、現場選びが極めて重要です。
どんな現場を選ぶかで、PM昇進の可能性は大きく変わります。
人員が頻繁に入れ替わる現場
まず避けるべきは、人員が頻繁に入れ替わる現場です。
PMになるには、
「このメンバーを知っている」
「このメンバーから信頼されている」という基盤が必須なので、
毎月誰かが抜ける環境では、リーダーシップを発揮する土台がありません。
技術的に古い現場
昨今のAI時代を考えると、
上流工程の方が「人である意味」を見出せる時代になっていますが、
PMになるなら、同時に技術的な市場価値も上げられる現場を選ぶべきです。
古い技術だけを深掘りしていると、
PM昇進後も「この人は古い技術しか知らない」という評価になりかねません。
「協力会社だから」という線引きが強い現場
PMを目指すのであれば、
技術力だけでなく案件運営の経験を積むことが重要です。
しかし現場によっては、
「プロパー社員が管理をする」
「協力会社は作業だけをする」
という暗黙のルールが存在します。
こうした現場では、
どれだけ成果を出しても顧客との打ち合わせや進捗管理、課題管理などを任せてもらえないことがあります。
一方で、まれにこんなリーダーがいます。
所属会社ではなく実力や姿勢を見て、
「次の定例会は一緒に出てみる?」
「課題管理を担当してみる?」
「サブリーダーをやってみない?」
とチャンスを与えてくれる人です。
実際にPMへ成長していく人は、
最初から肩書きを与えられるわけではありません。
小さな管理業務を任され、
信頼を積み重ねながら少しずつ案件運営の経験を増やしていきます。
だから現場を選ぶ際に見るべきなのは会社の規模や案件名ではなく、
「このリーダーは協力会社のメンバーにも成長の機会を与えているか」です。
PMへの最短ルートは、
優秀なリーダーの下で案件運営を学べる現場に入ることです。
PM昇進のリアルな流れと時間軸
では、実際のPM昇進は、どういう流れで進むのか。
僕が見てきた現場での時間軸を話します。
1年目:信頼構築の時期
1年目は、システムの仕様理解とチーム内での信頼構築の時期です。
この段階では「言われたことを正確にやる」が評価されます。
単価は据え置きか、小幅上昇(月5万円程度)に留まることがほとんどです。
この時期に信頼を積み重ねることが、後々のPM昇進につながります。
2年目以降:主体性が評価される時期
2年目以降になると、主体性が評価されます。
改善に対しての提案が通り始め、
ここで初めてPM候補として見られ始めます。
この段階で、単価が月10万上昇することもあるかもしれません。
ただし、これはあくまで実績が認められた場合であり、
主体性を発揮しても、それが現場プロパーに評価されなければ、単価は上がりません。
PMを目指すなら今からやるべき3つのこと
1.スキルシートに実績を書く
まず、スキルシートにチーム内での役割と改善提案の実績を具体的に書くことです。
「5人チームで進捗管理を担当」
「テスト工程の効率化を提案し、工数を20%削減」など、
数字と具体性が重要です。
スキルシートは、営業が次の案件で「この人はこういう実績がある」と
客先に説明する材料になります。
具体的な実績が書いてあれば、
現場側の期待値が上がり、PM候補として見られやすくなります。
2.営業にPMを目指していることを伝える
第二に、営業に「PM昇進を目指している」と伝えることです。
営業は現場との単価交渉時に「この人はPM候補です」と伝えることで、
現場側の期待値が上がります。
営業との関係は対等・フェアなものです。
営業も「この人をPM候補として育てたい」という動機があれば、
単価交渉時に「この人は主体性があって、チーム内でも信頼されている」とアピールしてくれます。
3.現場で主体性を発揮する
現場で、「困っていることはないか」「改善できることはないか」を常に考える癖をつけることです。
これが当事者意識につながり、現場プロパーの目に留まります。
PM昇進後の単価・キャリアの現実
PMになったら、その後はどうなるのか。
昇進後の現実を話します。
単価は商流で決まる
PM級になると月100万円〜130万円が相場ですが、
これは商流上の取り分で決まります。
エンジニア本人の交渉で上げられるわけではなく、
営業が「この人はPM級です」と客先に認めさせることが全てです。
つまり、PM昇進後も、営業の力量が大きく影響します。
営業が「この人の価値」を正しく客先に伝えられなければ、
単価は上がりません。
昇進後も評価は変動する
PM昇進後も評価が下がることはあります。
プロジェクトが炎上したり、メンバーから信頼を失ったりすれば、
単価は下がります。
PM昇進後に「責任が重くなった」「プレッシャーが大きい」と感じて、
パフォーマンスが落ちる人もいます。
PM昇進は、キャリアの一つの区切りですが、
そこがゴールではないということを理解しなければいけないです。
キャリアの選択肢が広がる
PM経験は、自社開発企業への転職やフリーランス、起業など、
キャリアの選択肢を大きく広げます。
SES企業でPM経験を積むことは、市場価値を高める最短ルートの一つです。
PM経験があれば、
自社開発企業でも「チームマネジメント経験がある」という強みになります。
フリーランスでも「プロジェクト全体を見られる人」として、単価が上がりやすくなります。
まとめ
PMになるために最も重要なのは、
技術力よりも「この人に任せたい」と思われる信頼を積み重ねることです。
そのためには、1年以上の継続経験を積みながら、
・実績をスキルシートに残す
・営業へキャリアの希望を伝える
・現場で主体性を発揮する
この3つを意識しましょう。
PM昇進は目的ではなく結果です。
目の前の実績づくりに集中すれば、PMへの道は自然と開けていきます。

