こんにちは、株式会社LEGAREA代表の三坂です。
今日はエンジニアのキャリア選択で必ずと言っていいほど出てくる問い、
「SESと自社開発、どっちがいいのか?」というテーマについて、僕なりの答えを共有したいと思います。
これは単純な良し悪しの話じゃなくて、その人の価値観・姿勢・フェーズによって向いている働き方は変わるというほうが正確だと思うんですよね。
実は僕自身、SESという業態を中心に事業を展開してきましたが、エンジニアが自社開発を目指す気持ちも痛いほど理解しているし、むしろどちらかに優劣をつけるような二元論では語れないと思っています。
今回は、業界構造・現場リアル・キャリア観の3つの視点から、フラットに深掘りしていきます。
① SESは経験を積む場所、自社開発は価値をつくる場所
まず、働き方の本質的な違いから整理しておきたいです。
SESはざっくり言えば、外の現場で経験値を積むビジネスモデルです。
担当する業務はプロジェクトやクライアントによって毎回変わるので、言い換えれば、仕事そのものを外で仕入れてくる働き方。
一方で自社開発は、事業を自分たちの手でつくり、育てる仕事です。
目の前のKPIやリリースに責任を持ち、プロダクトの成長とともに、自分も長期的な視点で関わり続けていく。
どっちがいいかは価値観次第ですが、ここには決定的な違いがあって、
- SES:経験・技術・適応力を高める環境
- 自社開発:事業と深く関わり、成果にコミットする環境
この構造を理解せずに「どっちがいいですか?」と聞くのは、方向性の違う船を選んでいるようなものだと思っています。
② SESは幅とスピードが手に入りやすい
SESの最大の魅力は、キャリアの初速がつけやすいことだと思います。
案件次第で、金融・医療・エンタメ・官公庁など、触れる技術もプロジェクトも変わる。1年で3つの案件を経験することだって珍しくありません。
僕の体感としても、30歳手前までにSESで現場経験を重ねた人と、1社で固定化された業務を続けていた人とでは、キャリアとしての柔軟性や市場価値の上がり方がまったく違うというケースが多いです。
ただしそれも、現場を経験するだけの人か現場で価値を持ち帰る人かで大差が出ます。
SESは経験できる環境があるだけで、経験値になるかどうかは本人次第。
それを理解している人は、3年で明らかに突き抜けていきます。
③ 自社開発の最大の価値は、成果と責任に向き合えること
自社開発が向いているのは、結果を自分で背負いたい人だと思います。
リリース後の数字、ユーザーの反応、改善サイクル、チーム体制――
こういった要素に興味を持ち、自分の積み上げを事業として成立させたい人にとって、自社開発は何よりも力を伸ばせる環境なんですよね。
逆に言えば、目の前の課題に長く向き合えなかったり、裁量を重荷に感じる人には、厳しい側面もあります。
リリースまで半年以上かかることもあるし、そもそもCTOやPMの判断で仕様が変わってしまうことだってある。
SESと違って、案件が変わることで新鮮さを得るという構造ではないからこそ、プロダクトに対する愛着と責任感がないとモチベーションが続かないところもあるのが正直なところです。
④ SESをステップにして自社開発へ
僕が若いエンジニアによく伝えているのは、「SESを土台にして、自社開発に移るキャリア設計はめちゃくちゃ合理的」ということです。
理由はシンプルで、
- 未経験から自社開発に入るのは狭き門
- でも、SESなら職歴が浅くても挑戦できる
- 現場で技術・実務・チーム体制を身につけてから転職すると、内定確率も年収も跳ね上がる
SESにいる時点で設計・テスト・保守だけではなく、現場で何を見て学んでいるか、転職前の準備ができているかが勝負。
そういう積み重ねができている人は、転職のときに確実に強いです。
⑤ 結論
どっちが正解かより、今どの働き方が自分に合っているかを問うべきです。
SESか自社開発か。
多くの人が悩むこのテーマに、正解のラベルは存在しないと思っています。
重要なのは、自分が何を重視して働きたいのか。
- 幅を広げたいか、深さを掘りたいか
- 経験を積みたいか、結果に向き合いたいか
- 変化を好むか、安定を好むか
この3つこそが、本当の判断軸なんじゃないかと思っています。
僕はSESという世界に誇りを持っています。
でもそれは、SESが万能だからじゃなくて、向いている人がきちんと活かせば伸びられる場所だからです。
あなたが今いる環境が、自分の成長にとってベストかどうか。
その問いを一度持つだけで、キャリアの見える景色は大きく変わるはずです。

