SES業界で働くエンジニアから「営業が信頼できない」という相談を
よく受けます。
しかし、営業との付き合い方を理解し、
お互いに信頼関係を築いていくことが
SESで長く活躍するためには欠かせません。
今回は、SES営業が信頼できるかどうかは
入社前後の対話パターンからどのように見えてくるのか、
そして現場で多くのエンジニアを見てきた経験から分かった、
営業との関係構築の本質について解説します。
目次
- 営業への不信感は「見分け方」ではなく「関係構築」の問題
- 入社前の対話:営業が「単価の透明性」を説明できるか
- 入社後の対話:営業が「現場の見立て」を本人に伝えるか
- 現場変更時の対話:営業が「本人の希望」を商流に上げるか
- 営業も「信頼される営業」になるために動いている
- 信頼できる営業との付き合い方:3つのポイント
- まとめ
営業への不信感は「見分け方」ではなく「関係構築」の問題
ネットを検索すると「信頼できない営業の特徴」という記事が
たくさん出てきます。
「給与を教えてくれない営業は避けろ」
「単価が曖昧な営業は怪しい」
「5年在籍者の年収を聞いて答えられない営業は信用するな」
みたいな感じです。
でも、SES営業をやってきた経験からすると、
こういう見分け方は成立しません。
なぜなら、営業が信頼できるかどうかは、その営業個人ではなく、
エンジニア本人との関係性で決まるからです。
営業とエンジニアは対等な関係で、どちらが上も下もないです。
一方が他方を「品定めする対象」として見ている限り、
信頼は生まれません。
営業が「このエンジニアは信頼できるか」を判断するのと同じくらい、
エンジニアも営業に対して「この人と付き合えるか」を判断する必要があります。
ただし、その判断は事前に見分けるのではなく、
対話の中で見えるものです。
入社前の面接、入社後の1on1、現場変更のときの相談
—こういった複数の対話の場面で、営業の姿勢が少しずつ見えてきて、
それが信頼を作る土台になります。
「見分ける」という発想を捨てて、
「どう付き合うか」という発想に切り替えることが最初の一歩です。
入社前の対話:営業が「単価の透明性」を説明できるか
入社前の面接で、営業が何を説明できるかは、
その営業の信頼度を測る大事なポイントです。
特に重要なのが「単価」の説明です。
単価はいくらなのかだけでなく、
その金額から何が原価として差し引かれ、
最終的に自分の給与がいくらになるのかまで、
明確に説明できるのは当然です。
もし、その内訳すら説明できないのであれば、
その営業自身が契約内容を十分に理解していない可能性があります。
少なくとも、自分が入社する会社を見極めるうえでは、
一つの判断材料になるでしょう。
入社後の対話:営業が「現場の見立て」を本人に伝えるか
入社後、信頼できる営業かどうかは、月1回の1on1の質の中に表れます。
信頼できる営業は、現場プロパーからの良い評価も悪い評価も、
フィルターをかけずにそのままエンジニアに伝えます。
例えば、「現場から『最近、主体性が出てきたね』という評価をもらった」と言われたら、それは営業が現場の声を拾っている証拠です。
逆に、「現場から〇〇という指摘があった」と言われたとき、
営業が「でも気にしなくていい」と打ち消す営業は信頼できません。
本当に信頼できる営業は、
「どう改善するか一緒に考えよう」と向き合います。
月1回の1on1が「最近どう?」という雑談で終わる営業と、
「スキルシートに何を追加する?」
「次の案件で何を目指す?」
という当事者意識を持った対話ができる営業では、
エンジニアのキャリアの伸び方が全く違います。
そういう営業は、
エンジニアの市場価値を高めることに本気で取り組んでいます。
現場変更時の対話:営業が「本人の希望」を商流に上げるか
信頼できる営業かどうかが最も明確に見える場面が、
現場変更を希望するときです。
「合わない現場から抜けたい」と言ったとき、
営業が「1年未満だと難しい」と一方的に却下する営業は信頼できません。
本当に信頼できる営業は、まず「なぜ合わないのか」を聞きます。
「業務内容が想像と違う」のか、
「チームの雰囲気が合わない」のか、
「スキルが追いつかない」のか。
理由によって、改善できることがないか考えます。
例えば、「スキルが追いつかない」という理由なら、
営業は「3ヶ月待ってみませんか。その間、スキルシートを磨いて、次の案件に備えましょう」という提案ができます。
一方、「ハラスメントを受けている」という深刻な理由なら、
営業は即座に対応します。
この判断の速さが信頼度を左右します。
営業が「現場側に相談してみる」と動くことが大事です。
結果が「予算縮小で終了」でも「スキルアップのため別案件へ」でも、
営業が「本人の声を商流に上げた」という事実が信頼に繋がります。
営業も「信頼される営業」になるために動いている
ここまで信頼できる営業の条件を話してきましたが、
営業側の視点も大事です。
営業の仕事は、案件探し・単価交渉・面談同席・スキルシート添削・クレーム対応・退場時の代替人材用意など、多岐にわたります。
全てを完璧にこなす営業は存在しません。
月に5件以下の案件しか扱わない営業もいれば、
月に20件以上の案件を抱える営業もいます。
「この営業は信頼できない」と判断する前に、
「この営業は何に力を入れているのか」を観察してください。
単価交渉に強い営業もいれば、スキルシート添削に強い営業もいます。
面談対策に時間をかける営業もいれば、
入社後のキャリア支援に力を入れる営業もいます。
エンジニア側も、
「営業に何を期待するのか」を明確にして伝えることが大事です。
「単価を上げることを最優先にしてほしい」なのか、
「キャリアの方向性を一緒に考えてほしい」なのか、
「スキルシートを充実させるのを手伝ってほしい」なのか。
営業が「本人の期待値を知っている」状態が、信頼関係の土台になります。
信頼できる営業との付き合い方:3つのポイント
信頼できる営業と付き合うためには、
エンジニア側も意識すべきことがあります。
- 「商流飛ばし」は絶対にしない
現場に直接言いたいことがあっても、
必ず所属営業に先に言ってください。
現場プロパーの方が話が早いと思うかもしれませんが、
それは営業を信頼しない行動です。
営業を信頼する最初の一歩は、営業を経由することです。 - 「単価を上げてほしい」と言うなら、根拠を一緒に用意する
営業が単価交渉するときの武器になるのは、
スキルシート・現場での実績・市場価値です。
「給与を上げてほしい」と言うだけでなく、
「こういう経験を積んだから、市場価値が上がった」という
根拠を営業に伝えてください。
営業はその根拠を持って、現場側と交渉します。 - 営業との1on1を「報告の場」ではなく「相談の場」にする
「今月も無事に案件が続いています」という報告だけではなく、
「こういう方向でキャリアを作りたい」という
本人の意思を営業に伝えてください。
営業も動きやすくなります。
まとめ
「信頼できる営業の特徴」を事前に見分けることはできません。
入社前の対話・入社後の対話・現場変更時の対話の中で、
営業の姿勢が少しずつ見えてくるものです。
営業とエンジニアは対等な関係です。
営業が信頼を作る努力をするのと同じくらい、
エンジニア側も営業を信頼する努力をする必要があります。
「この営業は信頼できるか」という判断よりも、
「この営業とどう付き合うか」という関係構築が何倍も大事です。
SES業界で長く働くなら、
営業との信頼関係が市場価値を高める最短ルートになります。
一緒に歩んでいくその姿勢が、あなたのキャリアを大きく変えます。

