こんにちは、LEGAREA代表の三坂です。
昔から活発に議論されている正社員とフリーランスどっちがいいの問題。
正社員のままでいいのか、フリーランスになった方が稼げるんじゃないかなどなど、意見はさまざまです。
確かに、SNSではフリーランスの成功体験がバズりやすいし、会社に縛られずに自由に働くという響きは魅力的だと思います。でも、実際のところはどうなんでしょうか?
今日は、感覚論ではなく、具体的な数値とリアルな現場の温度感をもとに、正社員とフリーランスの違いを掘り下げてみたいと思います。
【1】年収だけで見ると、確かにフリーランスは魅力的
フリーランスのエンジニアは、単価70万〜90万円で案件に参画していることも珍しくありません。
仮に月80万円で12ヶ月稼働したら、年収960万円です。
一方、正社員だと30代のエンジニアでも年収500万〜700万円が相場でしょう。
こうして見比べると、フリーの方が良さそうじゃんと思うかもしれません。
ただ、ここには見えにくい落とし穴があります。
【2】フリーランスは手取りが年収と比例しない
フリーランスは、社会保険料が全額自己負担です。厚生年金も健康保険も、正社員の倍以上払う必要があります。
たとえば年収960万円の場合、以下のような支出が想定されます。
- 所得税:約30万円
- 住民税:約60万円
- 国民健康保険:約90万円
- 国民年金:約20万円
- その他経費:約100万円(交通費・書籍・機材など)
ざっと差し引くと、手元に残るのは約650〜700万円前後になります。
正社員の700万円と、ほぼ変わらなくなってしまうんですね。
【3】実は稼働できない月が普通にある
フリーランスは、案件が切れた瞬間から無収入です。
実際、エージェントを通しても案件が見つかるまで1ヶ月〜3ヶ月かかるケースはよくあります。体調不良や家庭の事情で1ヶ月休めば、それだけで80万円の損失になります。
さらに、最近はリモート案件が激減し、常駐という選択をしなければ待機リスクはさらに高まります。
一方、正社員であれば有給もあるし、病気でも一定の給与保証があります。
つまりフリーランスは、12ヶ月すべて稼働できる前提の年収で話が進むが、実態は10ヶ月くらいが平均的です。
その場合、年収は800万円→実質手取り600万円台に減少します。
加えて、最近はフリーランスNGの案件も増えています。正社員かフリーランスか、スキルシートを見ると一目瞭然で、フリーランスは短い経歴がズラッと並んでいるケースが多いです。要は短期離脱が多くクライアントからしても、仕様理解もしていないタイミングで抜けられると正規の社員さんを参画させた方がプロジェクトに安定感が出るので、当然と言えば当然の話です。
【4】スキルアップとキャリア形成が孤独になりがち
両者の違いの一つに、キャリア設計に寄り添える仕組みがあるかどうか、という点も挙げられます。
フリーランスになると、基本的には目の前の案件をこなすだけの働き方になりがちで、スキルの棚卸しやキャリアの次のステップは、全部自分で考える必要があります。
会社によっては、評価制度や1on1、定期レビューを通じて次に伸ばすべき能力や活躍の幅が見えるようになります。
孤独に頑張り続けるより、誰かと伴走しながら成長できる環境の方が、長期的には圧倒的に強いと僕は思っています。
【5】社会的信用と将来設計の難しさ
フリーランスの人がよく困るのが、住宅ローン・クレジットカードの審査が通りにくいことです。
たとえば年収800万円でも、直近の契約が3ヶ月更新などの場合、銀行側が安定収入とみなさないこともあります。
また、将来的に病気になったときや、年金のことを考えたときに、保障制度が薄いのも事実です。フリーで自由に生きていても、40代後半でこのまま一人で続けられるのかなと不安になる話も、よく聞くようになりました。
【6】会社に依存するのではなく、会社を使い倒すという発想
ここまで読むと、フリーのリスクが多くて正社員が無難に思えるかもしれません。
でも、僕は正社員=安全だとは思っていません。
むしろ、会社に寄りかかって生きるのではなく、会社の制度や人材ネットワーク、実績を利用して、自分を成長させるという発想が大切だと思っています。
- 案件を選べる力
- 技術以外の価値を知る視野
- 仲間と築ける関係性
これらは、ひとりでは絶対に手に入らない財産です。
だからこそ、正社員という選択肢は、今でも十分に魅力的だと思っています。
【おわりに】正社員か、フリーランスか、の問い自体が古くなるかもしれない
最近では、正社員でありながら副業でフリーランスのような動きをする人も増えています。
もしかしたら、正社員 or フリーランスという二項対立の時代は終わりを迎えつつあるのかもしれません。
ただひとつ確かなのは、成長実感がないまま稼げる道を選んでも、人生の満足度は意外と高くならないということです。
どんな働き方をしていても、自分は前に進んでるという手応えと、誰かと一緒にやれてるという安心感がなければ、続けていくのはしんどくなる。
だからこそ僕は、今も仲間と成長できる場として、正社員という選択を支持したいと思っています。